概要
ビットコイン(BTC)価格は12月15日、8万5000ドル水準まで下落した。グローバルなマクロリスク、レバレッジ取引の巻き戻し、薄い流動性が重なり、最近の下落幅を拡大させた。この下落により、暗号資産市場全体の時価総額はわずか数日で1000億ドル以上失われた。下落の直接的な引き金は一つではないが、5つの要因が重なってビットコインを押し下げ、当面価格に圧力をかけ続ける可能性がある。
背景
ビットコインは、米連邦準備制度理事会(FRB)による利下げ後も、流動性に敏感なマクロ資産としての性格を強めており、従来の独立したヘッジ資産としての役割とは異なる値動きを見せている。また、長年にわたり円キャリートレードを通じてグローバルなリスク資産市場に資金を供給してきた日本の金融政策の変化は、ビットコインを含むリスク資産全体に大きな影響を与える可能性がある。
マーケット動向
12月15日、ビットコイン価格は8万5000ドル水準まで下落した。この下落中、デリバティブデータによれば、数時間で2億ドル以上のレバレッジロングポジションが清算された。また、大手マーケットメイカーのWintermuteは、集中型取引所を通じて推定15億ドル以上のビットコインを売却したとされる。売りが加速したタイミングは週末の流動性が薄い時間帯であり、比較的小さな売り注文でも価格が大きく動く状況が生まれた。
影響と展望
今後のビットコインの動向は、暗号資産固有のニュースではなく、マクロ要因の展開に依存する。日本銀行が利上げを決定し、グローバルな金利が上昇すれば、キャリートレードのさらなる巻き戻しによりビットコインは圧力を受け続ける可能性がある。円高もその圧力を強める要因となる。一方、市場が利上げを完全に織り込み、米国の経済データが十分に軟化して利下げ期待が再燃すれば、清算フェーズ終了後にビットコインは安定する可能性もある。現時点での12月15日の売りは、暗号市場の構造的な失敗ではなく、マクロ要因によるリセットを反映しているが、ボラティリティが急速に収まる可能性は低い。
まとめ
ビットコインの急落は、1)日本銀行の利上げ観測、2)米国マクロデータへの不確実性、3)レバレッジ取引の強制清算、4)週末の薄い流動性、5)大手マーケットメイカーによる大量売却、という5つの要因が重なって発生した。過去の日銀利上げ後のビットコインの下落パターンが意識され、先行して売りが進んだ側面もある。市場の焦点は引き続き、日銀の金融政策決定や米国の経済指標など、マクロ経済の動向にある。