予測市場は次の暗号メタになるか?取引高がミームコインを圧倒

暗号資産(仮想通貨)分野において、イベントの結果を予想して取引する「予測市場」の取引量が急拡大し、従来人気の高かったミームコインやNFT(非代替性トークン)の取引量を大きく上回る状況が続いています。2025年10月の月間取引高は予測市場が75億ドルに達したのに対し、ミームコインは27億ドル、NFTは約6億ドルでした。11月にはその差がさらに広がり、予測市場は95億ドルまで増加、ミームコイン(24億ドル)とNFT(2億ドル)を大きく引き離しました。この急成長の背景には、規制の明確化や機関投資家の参入による市場の正当化、そして投機的な要素が強いミームコインから、実用性や結果に基づく参加を可能にするプラットフォームへとトレーダーの関心がシフトしていることが指摘されています。主要取引所の参入計画も相次いでおり、今後の動向が注目されます。

概要

暗号資産エコシステム内で、政治、スポーツ、時事問題などの結果を予測して取引する「予測市場」の取引量が過去数ヶ月で急増し、ミームコインやNFTの取引量を凌駕しています。2025年10月の月間取引高は予測市場が75億ドルに達し、ミームコイン(27億ドル)やNFT(約6億ドル)を大きく上回りました。この勢いは、予測市場がNFT(2021-2023年)、ミームコイン(2024-2025年)に続く「次の大きなトレンド(メタ)」となる可能性を提起しています。

背景

これまで数年間、暗号市場の取引活動はNFTやミームコインが中心でした。しかし、市場アナリストは最近、この状況に大きな変化が生じていると指摘しています。ソーシャルメディアX(旧Twitter)では、アナリストが取引量データを示し、トレーダーの行動に明確な変化が起きていると分析しました。ミームコインは強力なコミュニティナラティブと投機的な誇大宣伝によって繁栄してきましたが、投資家の関心は次第に薄れつつあるとの見方が強まっています。

テクニカル詳細

予測市場は、現実世界の事象の結果について「Yes/No」や複数の選択肢で予想し、その結果に基づいて決済されるデリバティブ契約です。ブロックチェーン上で運営されることで、許可なく参加可能で透明性が高いことが特徴です。しかし、結果の決済には信頼できるオラクル(データ供給源)が不可欠であり、結果を巡る紛争は市場への信頼を損なうリスクがあります。また、流動性が低いイベントやニッチなイベントでは、市場操作のリスクも懸念材料として残っています。

マーケット動向

2025年10月の予測市場の月間取引高は75億ドル、ミームコインは27億ドル、NFTは約6億ドルでした。11月には予測市場の取引高は95億ドルまで増加し、ミームコイン(24億ドル)とNFT(2億ドル)との差はさらに拡大しました。Duneのデータによれば、予測市場の週間アクティブユーザー数は過去1週間で278,872人に達し、週間名目取引高は記録的な38.2億ドル、週間取引件数も1,267万件の史上最高を記録しています。ソラナブロックチェーン上では、主要予測市場プラットフォーム「Polymarket」の取引量が、ミームコイン作成プラットフォーム「Pump.fun」の取引量に迫る勢いを見せています。

影響と展望

市場関係者は、資本が「ジョークではなく、結果(アウトカム)」に向かって流れていると指摘します。Kalshiの暗号部門責任者、ジョン・ワン氏は、ミームコインが勢いを失っている理由として、搾取的な構造、インサイダー優位性、公平性への懸念の未解決を挙げています。その一方で、予測市場はより透明性が高く、社会的な関与も大きいと評価しています。現在、規制の明確化と機関投資家の参加がこの分野の正当化に寄与し、採用を急速に加速させています。コインベースは予測市場の立ち上げを計画していると報じられ、ジェミニの関連会社は米国商品先物取引委員会(CFTC)からライセンスを取得し、米国顧客へのサービス提供を可能にしました。トランプ・メディア&テクノロジー・グループも予測市場事業への参入計画を明らかにしています。今後の数ヶ月で、予測市場がこの勢いを維持できるかどうかが明らかになるでしょう。

まとめ

取引量データと市場参加者の分析は、暗号市場の注目がミームコインやNFTから、実用性と透明性を備えた予測市場へとシフトしつつあることを示しています。規制環境の整備と機関の参入が追い風となり、取引量は記録的な水準に達しています。ただし、オラクルへの依存や市場操作のリスクといった課題も残っており、今後の持続的な成長にはこれらの克服が鍵となります。

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