暗号資産市場、反発を期待 米CPI・失業保険申請・日銀金融政策決定会合を前に

暗号資産市場は、先週の利下げにもかかわらず続いた売り圧力の後、反発の兆しを見せている。トレーダーは今週発表される米国の消費者物価指数(CPI)や失業保険申請件数などの主要経済指標、および日本銀行の金融政策決定会合の結果に注目している。市場は依然として弱気なセンチメント(恐怖・強欲指数は16の「極度の恐怖」圏)にあり、時価総額は3.13兆ドルと1.5%下落したが、取引高は909億ドルと堅調を維持している。ビットコインは約8万9千ドル、イーサリアムは約3,100ドルで取引されている。歴史的に12月末から1月初めにかけて発生する「サンタクロース・ラリー」の季節的要因が、流動性の改善と相まって暗号資産市場にもプラスの影響を与える可能性が指摘されている。これらのマクロ経済イベントは、金融政策の見通しや市場のリスク選好を通じて、暗号資産価格に大きな影響を与えるため重要である。

概要

暗号資産市場は、米連邦準備制度理事会(FRB)による先週の利下げ後も続いた売り圧力から、反発の機会をうかがっている。トレーダーは今週発表される米国の消費者物価指数(CPI)や失業保険申請件数、さらに日本銀行の金融政策決定会合の結果など、世界的な市場に影響を与える可能性のある主要なマクロ経済イベントに注目している。市場センチメントは弱いが、季節的な「サンタクロース・ラリー」への期待が上昇材料となる可能性もある。

背景

暗号資産市場は、FRBの利下げ決定後も売り圧力が持続し、時価総額が下落するなど不安定な動きを見せていた。市場参加者は、今後の金融政策の方向性を探る手がかりとして、インフレ動向や雇用市場のデータ、主要中央銀行の動向に敏感になっている。

マーケット動向

月曜日早朝の暗号資産市場の時価総額は1.5%下落し、3.13兆ドルとなった。一方、価格の下落にもかかわらず、総取引高は909億ドルと高い水準を維持した。ビットコイン価格は1日で約1%下落し、約8万9千ドルで取引され、24時間取引高は486億ドル、時価総額は1.77兆ドルだった。イーサリアムは0.33%下落の約3,100ドルで、取引高は166億ドル、時価総額は3750億ドルと、ビットコインよりは堅調な動きを示した。市場センチメントを示すFear and Greed Indexは16(前日21)と「極度の恐怖」圏まで低下したが、先月の水準よりは上回っている。

影響と展望

アナリストは、今週の米国経済指標の数々が市場の反発の鍵を握ると指摘している。特に、11月の雇用統計とCPIインフレ指標は重要である。10月のCPIは予想を下回り、利下げ観測の高まりからビットコインの短期的な上昇を後押しした経緯がある。同様に、失業保険申請件数が予想より高ければ、追加利下げの観測が強まる可能性がある。また、日本銀行の金融政策決定会合の結果も注目される。日銀短観で主要製造業の景況感が4年ぶりの高水準を示したことから、利上げ観測が高まっている。過去には日銀の利上げがビットコインの20〜25%下落と同時期に発生したこともあり、一部アナリストは警戒を促している。さらに、年末年始の「サンタクロース・ラリー」と呼ばれる季節的な上昇相場が、流動性の改善と相まって暗号資産市場にもプラスの影響を与える可能性が指摘されている。

まとめ

暗号資産市場は弱気なセンチメントの中でも底堅い取引高を維持し、反発の機会をうかがっている。今週発表される米国のCPIや雇用データ、日銀の政策決定といったマクロ経済イベントの結果が、金融政策期待とリスク選好を通じて短期的な市場の方向性を決定づける主要因となる見込みである。同時に、歴史的な季節パターンも市場心理に影響を与える可能性がある。

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