概要
ニューヨーク・タイムズ(NYT)は、トランプ大統領とその家族が、大統領の再任後に米国証券取引委員会(SEC)が取り下げたり規模を縮小したりした複数の暗号通貨関連の執行措置から、財政的利益を得た疑いがあるとする調査報道を発表した。報道は、一部の訴訟の結果が、大統領の家族が関与する成長中の暗号ビジネスへの寄付やビジネス関係と結びついていたと指摘している。
背景
トランプ大統領は再任後、「米国を暗号通貨の世界的中心地とする」という公約を掲げてきた。一方で、SECはバイデン政権時代から継承した多くの暗号通貨関連企業に対する訴訟を抱えていた。NYTの調査は、政権交代後のこれらの訴訟処理に焦点を当てている。
マーケット動向
本報道は具体的な暗号通貨の価格動向には言及していない。しかし、報道対象となった事例には、ウィンクルボス兄弟の暗号企業、バイナンス、リップル・ラボ(XRP)、ジャスティン・サン氏のTronなど、業界を代表するプロジェクトや取引所が含まれている。SECがリップル・ラボへの罰金額を1億2500万ドルから5000万ドルに減額しようとした動きなど、個別案件の具体的な数値が示されている。
影響と展望
NYT報道は、SECによる暗号通貨業界への執行措置が、政権交代後、他の業界と比べて異常に高い率で取り下げまたは縮小されていることを指摘している。これは、政権と暗号業界との間に利益相反の疑いを生じさせ、規制執行の公平性に対する疑問を提起する可能性がある。ホワイトハウス報道官はこの疑惑を否定し、政策は「すべてのアメリカ人のための革新と経済的機会を推進する」ためのものだと述べている。今後の展開として、これらの指摘が議会や司法の場でさらに検証される可能性がある。
まとめ
NYTの調査報道は、トランプ政権下でSECが暗号通貨関連訴訟の多くを手控えている状況をデータ(継承案件23件中14件撤退、うち8件がトランプ家と関係)に基づき指摘し、その背景に大統領家族と業界との関係がある疑いを示した。一方、政権側は公約に基づく政策であると反論している。暗号通貨規制を巡る政治的な力学が、執行当局の動向に影響を与えている可能性が浮き彫りとなった。