概要
ビットコイン(BTC)の価格が、米国株式市場のハイテク株指数であるナスダックの反発停滞や、米国債ボラティリティ指数(MOVE指数)の動向を背景に、8万ドル近辺への再テストリスクを高めている。CoinDeskアナリストで公認市場技術者(CMT)のOmkar Godbole氏によるテクニカル分析によれば、BTCは11月の安値からの回復の勢いが弱まり、短期的な弱気シナリオの可能性が浮上している。
背景
ビットコイン(BTC)は、11月21日に8万ドルの安値をつけた後、反発を続け、9万ドル以上まで価格を回復させていた。この回復は、米連邦準備理事会(FRB)の利下げを受けた米ドル指数の下落や、長期的なトレンド指標がBTCのモメンタムの強気転換を示唆していたことから、持続性があるように見えた。
テクニカル詳細
しかし、BTCは先週金曜日に93,000ドル付近から下落を開始し、日曜日には約88,000ドル近辺まで下落した後、執筆時点では約89,600ドルで安定している。BTCの週足チャートは、94,000ドル以上で売り圧力に遭ったことを示す長い上ヒゲを持つ弱気のローソク足を形成しており、これは上昇モメンタムの減退と高値での「反発売り」が優勢であることを示す典型的な反転パターンと見なされる。このパターンは、ナスダックの11月安値からの反発が停滞していることと相まって、BTCが8万ドル方向へさらに下落する懸念を高めている。
マーケット動向
ナスダック指数は前週、約2%下落し、前週の上昇分をすべて失う弱気の包み足(ベアリッシュ・エングルフィング・キャンドル)を形成した。さらに週足のMACDも弱気を示しており、下方ボラティリティの可能性を暗示している。ナスダックとBTCには強い正の相関関係があり、特にナスダックの下降局面ではBTCが下落を増幅する傾向が指摘されている。
一方、米国債の30日間インプライド・ボラティリティを測定するMOVE指数は、前週、逆ハンマー(インバーテッド・ハンマー)のローソク足パターンを形成した。これは長期的な下降トレンドの後に現れる場合、強気反転の初期サインと解釈される。MOVE指数が上昇に転じることは、米国債のボラティリティ上昇、ひいては世界的な金融引き締めとリスク資産の上昇抑制を意味する可能性があり、歴史的にBTCはMOVE指数と逆の動きをする傾向がある。
影響と展望
これらの要因を総合すると、BTCは現在のカウンタートレンド上昇チャネルから上方向ではなく下方向にブレイクする可能性が高く、最近の8万ドル付近の安値再テストへの道が開かれると分析されている。強気シナリオを再確認するためには、94,000ドルから95,000ドルの抵抗帯を突破する必要があるが、96,000ドルから100,000ドルにかけては50日単純移動平均線や一目均衡表の雲を含む強力な抵抗帯が待ち構えている。
まとめ
ナスダック指数の反発停滞と弱気チャートパターン、MOVE指数の反転兆候といった外部市場のサインが、ビットコイン(BTC)の価格に対して短期的な下方圧力として作用している。テクニカル分析では、BTCの上昇モメンタムが減退し、8万ドル付近の安値再テストリスクが高まっていると評価されている。