ETF専門家ネイト・ジェラシ氏、ビットコインは「デジタルゴールド」としての証明をまだ持たずと指摘

ETFアナリストのネイト・ジェラシ氏は、ビットコイン(BTC)が「デジタルゴールド」としての地位を確立するには至っていないとの見解を示した。ジェラシ氏は、ビットコインが依然としてボラティリティの高いリスク資産のように振る舞い、市場のストレス時に安全資産としての機能を一貫して証明できていない点を指摘。今年4月の「関税パニック」時には株価下落中に上昇しデジタルゴールド論を後押ししたが、その後、ハイテク株主導の市場調整局面では市場以上に売り込まれるなど、行動に一貫性がないと分析。ビットコインは歴史が約15年と若く、数十年にわたり価値保存手段としての地位を確立してきた金とは対照的であるとし、様々な市場サイクルにおける信頼できる実績の構築にはさらなる時間が必要との見解を示した。一方で、スポットビットコインETFは年初来で約220億ドルの資金流入を集めるなど関心は高く、ボラティリティが緩和されるにつれ、ビットコインが金に近い特性を示す可能性はあると述べている。

概要

ETFアナリストのネイト・ジェラシ氏は、ビットコイン(BTC)が「デジタルゴールド」、すなわち信頼できる価値の保存手段としての地位を確立するには至っていないとの見解を示した。同氏は、ビットコインが市場のストレス時に安全資産として一貫した行動を見せておらず、ボラティリティの高いリスク資産のように振る舞っている点を指摘。ビットコインは歴史が浅く、様々な市場環境下での実績構築にはさらなる時間が必要だと述べた。

背景

ビットコインが「デジタルゴールド」であるという議論は、機関投資家の関心を集める原動力の一つとなってきた。JPモルガンなどの一部機関は、ビットコインが来年にも世界最高の価値保存手段として金に取って代わる可能性を指摘するなど、楽観的な見方も存在する。

市場分析

ジェラシ氏は、ビットコインの価格行動に注目。今年4月の「関税パニック」時には、株式が下落する中でビットコインは上昇し、デジタルゴールドとしてのストーリーを強化した。しかしその後、ハイテク株主導の市場調整局面では、市場全体よりも大きく売り込まれる動きを見せ、安全資産としての信頼性を弱める結果となった。ビットコインは過去最高値から25%以上下落している一方で、2024年初頭からは2倍以上に上昇するなど、長期的な成長力と短期的な変動の激しさを併せ持つ。最近のスポットビットコインETFでは資金流出が見られるものの、1月以降の純資金流入は約220億ドルに達している。

投資家の視点

ジェラシ氏によれば、投資家は株式市場が下落した際にビットコインがポートフォリオを保護できるかどうかについて明確さを求めている。同氏は、ビットコインの市場行動は、規律を学びつつある10代の若者のようだと例え、安定した価値保存手段として証明されるまで、投資家は現実的であるべきだと警告した。ビットコインの下落は株式市場の弱さから始まったが、暗号資産市場内の過剰なレバレッジが下落を深めた側面もある。

まとめ

ETF専門家のネイト・ジェラシ氏は、ビットコインが「デジタルゴールド」としての地位を確立するには、市場のあらゆる局面で安全資産として一貫した行動を示す実績がまだ不十分であると指摘した。ビットコインETFへの資金流入は継続しているものの、約15年というその若さから、数十年の実績を持つ金のような確固たる評価を得るには、さらなる市場サイクルを経てボラティリティが緩和される必要があるとの見解を示している。

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