概要
アンソニー・ポンプリアーノ氏が率い、7億5000万ドル以上を調達してビットコイン財務会社の構築を目指すProCap BTCは、特別目的買収会社(SPAC)のコロンバス・サークル・キャピタル(BRR)との合併を金曜日に完了した。合併後の新会社はProCap Financialに社名を変更し、ナスダックでBRRシンボルでの取引を月曜日から開始する。
背景
今年、SPACを通じて急速に形成されたビットコイン財務会社(BTCTC)のパフォーマンスは悲惨な状況にある。大半の企業がSPAC合併後、90%以上の価値を失っており、KindlyMD(NAKA)やStrive(ASST)など知名度の高い銘柄も現在1ドル未満で取引されている。
企業動向
合併を主導したアンソニー・ポンプリアーノ氏は、投資家の懸念を払拭するため、経営陣と取締役会の報酬に関する方針を明確にした。ポンプリアーノ氏自身は年俸1ドルとし、保証されたボーナスも受けないことを表明。さらに、株式報酬は株価が15ドル(現在の取引価格の3倍以上)に達するまで発動しないことを約束した。取締役会も同様に、株価が特定の価格目標に達するまで株式報酬を受け取らないことに合意している。また、SPAC取引における優先投資家(PIPE)についても、同様の目標達成が条件とされる。
市場分析
BRR株は数ヶ月間、10ドルの公開価格付近で非常に狭いレンジ内で取引されていた。合併が承認されない可能性への期待から、11月28日(金)には10.15ドルで取引を終えていた。しかし、今週に入り合併完了が確実視されるにつれ、株価は50%以上急落し、4.36ドルで取引を終えた。
業界への影響
今年のBTCTCには、経営陣と取締役会が確保した有利な報酬契約が課題として指摘されてきた。投資家自身でも実行可能な「ビットコインの購入と保有」に対して、なぜ多額の報酬を支払う必要があるのかという疑問が背景にある。ポンプリアーノ氏の報酬方針は、こうした業界全体への批判に対応し、投資家との利益一致を図る新たな基準を設けようとする試みと見られる。
投資家の視点
BTCTCへの投資はこれまで高いリスクを伴ってきた。多くの類似企業が大幅な価値毀損を経験していることから、ProCap Financialの今後のパフォーマンスについては慎重な見方が必要である。一方で、経営陣の報酬を株価の実績に連動させるポンプリアーノ氏の方針は、経営者と株主の利益をより一致させ、長期的な企業価値向上へのインセンティブとなり得る機会として捉える見方もある。
まとめ
ProCap BTCとSPACのBRRとの合併が完了し、新会社ProCap Financialとしてナスダック上場への道が開かれた。しかし、BTCTCセクター全体の不振と合併完了に伴うBRR株の大幅な下落が投資家の懸念材料となっている。ポンプリアーノ氏は、経営陣と取締役会の報酬を株価の実績に厳格に連動させる方針を打ち出し、株主との利益一致をアピールすることで、こうした懸念の緩和と市場からの信頼獲得を目指している。