米国PCEインフレ率2.8%上昇、ビットコインは一時9万ドル突破も下落に転じる

米国商務省経済分析局(BEA)が発表した9月の個人消費支出(PCE)物価指数は、前年同月比で2.8%上昇し、市場予想と一致した。特に米連邦準備理事会(FRB)が重視するコアPCEも2.8%上昇(予想2.9%)と、緩やかな低下を示した。このデータは、来週開催される連邦公開市場委員会(FOMC)での利下げ(25ベーシスポイント)実施の可能性を強める材料と受け止められた。ビットコイン(BTC)はデータ発表直後、心理的な節目である9万ドルを突破し、一時9万1,000ドル近辺まで上昇した。しかし、その後は上値を抑えられ、発表前の水準を下回る新たな日中安を付ける動きに転じた。市場では約2億7,000万ドルのポジションが清算され、うち約2億4,000万ドルがロングポジションであった。PCEデータ発表後、CME FedWatchツールによる利下げ確率は87%と、今週初めの90%からわずかに低下している。

概要

米国商務省経済分析局(BEA)が12月5日(現地時間)に発表した9月の個人消費支出(PCE)物価指数は、前年同月比で2.8%上昇し、市場予想と一致した。特にFRBが重視するコアPCE(食品・エネルギー除く)も2.8%上昇(予想2.9%)と、緩やかな低下を示した。このデータは、インフレが依然として粘り強く、FRBの目標2%を上回っていることを示す一方、予想通りの数値であったため、来週のFOMCでの利下げ実施期待を後押しした。ビットコイン価格はデータ発表を受け一時9万ドルを突破したが、その後は上値を抑えられ下落に転じ、新たな日中安を付けた。

背景

PCE物価指数は、FRBがインフレ指標として最も重視するガージであり、金融政策の判断材料となる。FRBは2025年内に既に2回の利下げを実施しており、市場は12月のFOMCで3回目となる利下げ(25ベーシスポイント)が行われるかどうか注視していた。ビットコインは、金融緩和期待が高まると流動性の流入を期待されて上昇する傾向があり、過去の利下げ前にも史上最高値を更新する動きを見せていた。

市場分析

ビットコイン価格は、PCEデータ発表前には9万ドルを下回っていたが、発表直後に急騰し、一時9万1,000ドル近辺まで上昇した。しかし、この上昇は短命に終わり、その後は下落に転じ、データ発表前の水準を下回る新たな日中安を付けた。今週初めには利下げ期待から9万4,000ドル近辺まで上昇していたが、データ発表後の利益確定売りなどにより押し戻される格好となった。データ提供会社CoinGlassの情報によると、過去4時間で仮想通貨市場全体で約2億7,000万ドルのポジションが清算され、そのうち約2億4,000万ドル(約89%)がロングポジションの清算であった。

投資家の視点

市場関係者の間では、予想通りのPCEデータが発表されたことで、来週のFOMCで25ベーシスポイントの利下げが行われる可能性が強まったと見る向きがある。CME FedWatchツールによると、データ発表後、利下げ確率は90%から87%へとわずかに低下したものの、依然として高い水準を維持している。一方で、ビットコイン価格が9万ドルを割り込んだことで、8万ドル台まで下落する可能性が40%を超えたとする予測市場(Polymarket)のデータも紹介されている。インフレの粘り強さが残る中、FRBの今後の姿勢や経済データに対する市場の敏感な反応が継続することが予想される。

まとめ

9月の米国PCEインフレ率は予想通りの2.8%上昇となり、FRBの利下げ期待を後押しする材料となった。ビットコインはこの発表を好感し一時9万ドルを突破したが、直後に上値を抑えられ下落に転じ、市場では多額のロングポジションが清算される動きとなった。来週のFOMC結果を前に、市場の緊張感が高まっている状況が伺える。

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