概要
米連邦検察当局は、暗号資産プロジェクト「テラフォーム・ラボ」の共同創業者ド・クォン氏に対し、有線詐欺等の罪で懲役12年を求刑した。検察は、クォン氏が引き起こした損失は、FTXやセルシウス等の他の主要な暗号資産関連事件の関係者らが合計して引き起こした損失を上回ると主張している。量刑審理は来週行われる予定。
背景
クォン氏は、2022年5月にステーブルコインUSTとその関連トークンLUNAが崩壊した「テラ事件」の中心人物。同事件は暗号資産市場全体に大きな打撃を与え、市場の長期低迷期「クリプトの冬」の引き金の一つとされている。米当局は2023年3月、証券詐欺、市場操作、マネーロンダリング、有線詐欺などの容疑でクォン氏を起訴した。
企業動向
テラフォーム・ラボは、アルゴリズム型ステーブルコインUSTとそのガバナンストークンLUNAを運営していた企業。2022年の崩壊後、同社は事実上機能を停止している。共同創業者であるクォン氏の刑事裁判が現在の焦点となっている。
市場分析
この量刑勧告の報道を受けて、テラのネイティブトークンLUNAの価格は、記事執筆時点で過去24時間に約40%上昇し、約0.07ドルから約0.10ドルとなった。ただし、これは生態系が崩壊する前の2022年4月に記録した史上最高値(19ドル以上)を大きく下回る水準である。
業界への影響
検察は提出文書で、テラフォーム市場の暴落が暗号資産市場全体に連鎖的な危機を引き起こし、「クリプトの冬」の一因となったと指摘。この事件は、暗号資産業界における規制と投資家保護の重要性を改めて浮き彫りにした。
投資家の視点
クォン氏の弁護側は、彼が母国韓国でも別の刑事訴追に直面しており、最大で40年の刑期が科される可能性があると主張。米国での刑期が長すぎると、二重の処罰に相当する可能性を示唆し、刑期の短縮を求めている。裁判官は検察と弁護側双方の主張を考慮した上で判決を下す権限を有しており、数十年の実刑から大幅に短い刑期まで、あらゆる可能性がある。参考までに、FTX元CEOのサム・バンクマン=フリード氏は25年、セルシウス元CEOのアレックス・マシンスキー氏は12年、ワンコイン事件のカール・セバスチャン・グリーンウッド氏は20年の刑が確定している。
まとめ
米司法当局は、テラフォーム・ラボ崩壊の中心人物であるド・クォン氏に懲役12年を求刑した。検察は、同事件が暗号資産市場全体に与えた壊滅的な影響を強調している。一方、弁護側は二重処罰のリスクを理由に更生の機会を与える短い刑期を要請。裁判官の判断が注目される。