マイクロストラテジーの優先株式「STRF」、直近の反発で最高のパフォーマンスを記録

ビットコイン大量保有で知られる企業マイクロストラテジー(MSTR)が発行する優先株式のうち、最上位に位置する「STRF」が、発行後の9ヶ月間で同社の信用商品の中で最も成功した商品として注目を集めている。STRFは発行価格から36%上昇し、特に2025年11月21日の底値(92ドル)からは20%反発した。この動きはビットコインの価格動向(約80,000ドルの底値)と強い相関を示している。投資家は、下位の優先株式「STRD」よりも、配当の優先順位が高く保護が厚いSTRFを強く選好しており、両者の信用スプレッド(利回り差)は11月下旬に過去最高の1.5にまで拡大した後、1.3程度に正常化している。STRFの実効利回りは9.03%と同社の優先株式の中で最低水準だが、そのプレミアム価格はシニアエクスポージャーへの強い需要を反映している。同社の普通株も12月の安値155ドルから約185ドルへ回復しており、ビットコイン市場の改善とともに、会社全体の資本構成に対するセンチメントが好転していることが示唆される。

概要

ビットコインを大量に保有する企業戦略をとるマイクロストラテジー(MSTR)が2025年3月に発行した最上位の永久優先株式「STRF」は、発行後9ヶ月を経て、同社の信用商品の中で際立ったパフォーマンスを示している。現在約110ドルで取引されるSTRFは、発行価格から36%上昇し、2025年11月21日の底値92ドルからは20%反発した。この動きはビットコイン価格が約80,000ドル付近で底を打った時期と一致し、両者の強い連動性が浮き彫りになっている。

背景

マイクロストラテジーは、ビットコインを主要な財務資産として保有することを公的な戦略としている企業である。同社は資金調達の一環として、複数種類の優先株式を発行しており、それらは配当の優先順位やリスクプロファイルが異なる。STRFはその構造の中で最も上位(シニア)に位置する。

企業動向

STRFは年率10%の固定キャッシュ配当を支払い、ガバナンス権を有する。また、配当の支払いが滞った場合にはペナルティベースの利上げ(ステップアップ)条項が発動される。同社は優先株式の配当支払いのために14億4000万ドルの現金バッファーを準備していることを発表しており、これが投資家の信頼に寄与している。

市場分析

STRFの価格上昇に伴い、その実効利回りは約9.03%まで低下し、同社が発行する優先株式の中では最低水準となっている。しかし、シニアであることによる保護の厚さと長期の信用プロファイルへの需要は強く、プレミアム価格での取引を支えている。一方、下位(ジュニア)の優先株式「STRD」はより高いリスクを反映し、投資家が要求する利回りは12.5%に達している。両者の信用スプレッド(価格比)は、投資家がシニアエクスポージャーに集中した2025年11月21日に過去最高の1.5(STRDが65ドルで取引)まで拡大した後、約1.3に正常化した。この動きは、市場のリスク選好度の変化を示している。同社の普通株(MSTR)も、2025年12月1日の安値155ドルから約185ドルへと約19%反発し、会社全体の資本構成に対する市場センチメントの改善が確認される。

業界への影響

詳細は不明。

投資家の視点

マイクロストラテジーのエグゼクティブ会長であるマイケル・セイラー氏は、2025年10月下旬にSTRFとSTRDの間で拡大する信用スプレッドに言及した。このスプレッドは、投資家がよりリスクの高いジュニア証券を保有するために要求する追加利回りを測る指標である。投資家は、ビットコイン価格の変動に晒される同社の財務構造において、より保護が厚いシニア証券を選好する傾向が強まっている。この選好は、同社の他の優先株式「STRC」が投資家の関心を維持するために配当率を4度引き上げたことからも、証券間でのパフォーマンスの分化が進んでいることがわかる。

まとめ

マイクロストラテジーの最上位優先株式STRFは、ビットコイン価格の反発と連動する形で堅調なパフォーマンスを維持し、発行後短期間で同社を代表する信用商品としての地位を確立しつつある。投資家のシニア証券への強い選好は信用スプレッドの拡大として表れており、市場のリスク認識の変化を反映している。同社の普通株価格の回復と相まって、ビットコイン市場の環境改善が企業全体の評価向上に寄与している構図が浮かび上がる。

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