概要
イーサリアム(ETH)の価格は、JPモルガンが同ネットワーク上で初のオンチェーンファンドを立ち上げたという強気材料を背景にしながらも、技術的分析では短期的な下落リスクが指摘されている。ETHは2日連続で下落し、12月7日以降の最安値となる約2978ドルまで値を下げており、年初来高値からは約40%下落した。チャート分析ではベアリッシュ・フラッグパターンの形成が確認され、2620ドル、さらには2500ドルへの下落可能性が示唆されている。
背景
JPモルガンは、イーサリアムネットワーク上で「My OnChain Net Yield Fund(MONY)」と呼ばれる初のオンチェーンファンドを立ち上げた。これは適格投資家向けの商品である。JPモルガンは、ブラックロック、アポロ・マネジメント、ジャナス・ヘンダーソンなど、過去数ヶ月間にトークン化ファンドを立ち上げてきた他のウォール街企業に続く動きとなる。
テクニカル詳細
日足チャートによると、ETH価格は年初来高値の4968ドルから現在の2978ドルまで下落している。この下落は、10月に始まった下降トレンドの中で、ベアリッシュ・フラッグパターンを形成しながら加速した。このパターンは、フラッグポール部分の形成が完了し、現在はフラッグ部分にあると分析されている。価格がフラッグパターンの下限を下回り始めており、フラッグポールの下限である2620ドル(現在価格から約12%下落)まで下落するリスクがあるとされる。2620ドルを下回った場合、次の目標は2500ドルとなる可能性がある。この2500ドルは、マレーマスラインズツールの「アルティメットサポート(最終支持線)」とも一致している。一方、フラッグ部分の上限を上抜ける動きがあれば、この弱気シナリオは無効化され、4000ドルといった心理的節目に向けた上昇が見込まれる。
マーケット動向
ETH価格は2日連続で下落し、約2978ドル(記事執筆時点)まで下落した。これは12月7日以降の最安値であり、年初来高値4968ドルからは約40%の下落率となる。RWA(リアルワールド・アセット)分野のデータによれば、イーサリアムネットワークには126億ドル以上の資産がトークン化されており、業界全体の資産総額180億ドルの中で最大のシェアを占めている。
影響と展望
JPモルガンがイーサリアムネットワークを選択したことは、同ネットワークの正当性を強化する重要な出来事である。JPモルガンは資産4兆ドル超を抱える米国最大の銀行であり、長年暗号通貨業界を批判してきたジェイミー・ダイモンCEOが率いている点でも注目に値する。この動きは、ゴールドマン・サックスやバンク・オブ・アメリカといった他の金融機関もトークン化を採用する可能性を示唆している。しかし、短期的には強気な基本材料があっても価格が下落する状況は市場では珍しくなく、現在のETH価格は技術的な弱さと基本面的な強さの対立に直面している。
まとめ
イーサリアムは、JPモルガンによる初のオンチェーンファンド立ち上げという大きな基本材料を獲得した一方で、チャート上では明確な弱気パターンが形成されており、短期的には2620ドルから2500ドルへのさらなる下落リスクが存在する。長期的なネットワークの採用拡大と短期的な市場の技術的圧力が交錯する状況となっている。