米上院、暗号資産市場構造法案の審議を2026年に先送り

米国上院銀行委員会は、暗号資産市場の規制枠組みを定義する「市場構造法案」に関する採決前の審議(マークアップ公聴会)を2025年内に開催しないことを明らかにした。法案は2026年早々に審議される見込みだが、具体的な日程は未定である。この法案は、証券取引委員会(SEC)と商品先物取引委員会(CFTC)の役割分担を明確にし、CFTCを暗号資産の現物市場の主要規制当局に位置付けることを目的としている。審議の遅れは、超党派での合意形成を目指すティム・スコット委員長の方針や、政府予算審議などの他の優先事項が影響している。業界は包括的な新法の制定を期待していたため、今回の延期は一時的な後退と見なされている。一方、SECとCFTCは法案の成否にかかわらず、業界との対話を深め、規制環境の明確化を進めている。

概要

米国上院銀行委員会は、暗号資産(暗号通貨)市場の規制構造を定義する重要法案「市場構造法案」に関する採決前の審議(マークアップ公聴会)を2025年12月中には開催せず、審議は2026年に先送りされることが明らかになった。法案は超党派での合意形成が目指されているが、協議は継続中であり、2026年早々の審議が期待されている。

背景

この市場構造法案は、暗号資産市場における米国証券取引委員会(SEC)と商品先物取引委員会(CFTC)の監督権限と役割を明確に定義することを目的としている。具体的には、CFTCを暗号資産の現物市場の主要規制当局に指定し、証券法が同分野にどのように適用されるかをより明確にする内容が検討されている。上院銀行委員会(SECを監督)と上院農業委員会(CFTCを監督)がそれぞれ草案を作成しており、両委員会での審議が必要とされている。

テクニカル詳細

法案の詳細な技術的内容については、記事内で具体的な条文は示されていない。しかし、その主目的は、SECとCFTCという二つの主要規制当局の管轄権を区分けし、暗号資産産業に対する規制の「明確性」を提供することにあると説明されている。

マーケット動向

記事の冒頭には、ビットコイン(BTC)が86,043.30ドル、イーサリアム(ETH)が2,939.76ドルなど、主要暗号資産の価格が掲載されているが、これらは記事本文の分析対象ではなく、参考情報として提示されている。法案審議の遅れが直ちに市場価格に与えた影響についての言及はない。

影響と展望

審議の遅れは、2025年中の包括的な新法成立を期待していた暗号資産業界にとっては後退と見なされている。しかし、上院銀行委員会の報道官は、ティム・スコット委員長が超党派での強力な法案作成に向けて誠実な協議を継続しており、「デジタル資産産業に明確性を提供し、米国を世界の暗号の中心地とする」ことを目指していると述べた。今後の課題として、議会は年末年始の休会明けに1月30日に期限が切れる政府資金調達法案を最優先するため、市場構造法案に取り組める時間は限られる見通しである。また、民主党側からは金融安定性、市場の健全性、倫理面(トランプ前大統領とその家族の暗号資産関連ビジネスへの対応を含む)に関する懸念が対立点として挙げられている。法案の行方とは別に、SECとCFTCは業界との対話を深める独自の動きを既に開始しており、SECはラウンドテーブルを開催し、CFTCは認可機関による現物取引への参入を認める動きを見せている。

まとめ

米国上院における暗号資産市場構造法案の審議は、超党派協議の継続と議会の他の優先事項により、2026年まで延期された。業界は規制の明確化を切望しているが、立法プロセスにはさらなる時間を要する見込みである。一方、規制当局は法案の成否を待たずに、業界との対話と実務的な調整を進めている。

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