概要
英国の多国籍銀行スタンダード・チャータードと米国の暗号資産取引所Coinbaseは、機関投資家向けの取引、カストディ(資産保管)、金融サービスを開発するため、既存のパートナーシップを拡大した。両社は、安全で透明性が高く相互運用可能なソリューションを、最高水準のセキュリティとコンプライアンス基準を満たす形で提供する方法を模索する。
背景
今回の発表は、シンガポールにおける既存の関係を発展させたものだ。シンガポールでは、スタンダード・チャータードがすでにCoinbaseに銀行接続サービスを提供しており、同取引所の顧客がシンガポールドルをリアルタイムで送金できるようにしている。また昨年は、Crypto.comもスタンダード・チャータードと提携し、90カ国以上のユーザーが同社のアプリを通じて米ドル、ユーロ、UAEディルハムの入出金を可能にするグローバルな小売銀行サービスを展開した。
テクニカル詳細
具体的な技術的詳細については、元の記事では明記されていない。両社の提携は、サービス提供の可能性を「探る(explore)」段階であり、構築するインフラの詳細なプロトコルやアーキテクチャについては言及されていない。
マーケット動向
この発表の直前に、米国通貨監督庁(OCC)がデジタル資産セクターに関連する5社に対し、条件付きで国立信託銀行認可の申請を承認した。承認を受けたのは、既存の州認可信託会社を国立信託銀行に転換する計画のBitGo、フィデリティ・デジタル・アセッツ、Paxos、および新規申請者のCircleとRippleである。この規制面での進展は、機関向け暗号資産サービスの基盤整備に寄与する環境が整いつつあることを示している。
影響と展望
この提携拡大は、伝統的金融機関と主要な暗号資産取引所の連携が、単なる銀行接続から、取引、カストディ、ステーキング、融資などより包括的なサービスへと深化していることを示す。これにより、機関投資家が安全で規制順守の枠組み内でデジタル資産を取引・管理できる統合型サービスの開発が促進される可能性がある。また、Coinbaseは来週、予測市場やトークン化された株式を含む可能性のある新製品を発表する予定であり、サービス拡大が続いている。
まとめ
スタンダード・チャータード銀行とCoinbaseは、機関投資家向けの暗号資産インフラ構築に向けた戦略的提携を拡大した。これは、シンガポールでの既存協力関係の発展形であり、米国における信託銀行認可の進展など、規制環境の整備を背景に、機関投資家の本格的な参入に向けた業界の基盤整備が進んでいることを反映している。