概要
ビットコイン(BTC)は12月14日(日)、低流動性の取引の中で8万9000ドルを下回った。イーサリアム(ETH)は相対的に堅調だったものの、ソラナ(SOL)、XRP、ドージコイン(DOGE)、カルダノ(ADA)などの主要アルトコインは軒並み下落し、市場全体で慎重な姿勢が広がっている。投資家は、今週控える米国の重要な経済指標発表と中央銀行のイベントを前に、リスク選好を抑制している。
背景
暗号資産市場は、伝統的に週末は流動性が薄くなる傾向にある。今回の価格下落は、そのような週末の静かな取引環境の中で発生した。さらに、過去1か月間、主要アルトコインの多くは二桁の損失を記録するなど持続的な弱さを見せており、ビットコインへの資金集中(ビットコイン・ドミナンスは約57%)が続く中での動きとなった。
マーケット動向
ビットコインはUTC時間12月14日午後12時40分時点で約8万9600ドルで取引され、前日比で約0.9%下落、週間では小幅高、過去1か月間では約7.6%の下落となっている。イーサリアムは約3104ドルで取引され、日次では下落したが、過去7日間では2%以上上昇し、週間ベースでビットコインをアウトパフォームした。暗号資産市場全体の時価総額は約3.15兆ドル、24時間の取引量は約890億ドルだった。コインデスク20指数(CD20)はほぼ1%下落した。
影響と展望
市場の注目は、今後数日間に集中するマクロ経済イベントに向けられている。米国では、失業率、ADP雇用統計、週間失業保険申請件数といった一連の雇用指標に加え、11月のインフレデータ、12月の速報PMI、さらにFRB理事による講演が予定されており、今後の利上げ動向に関する手がかりが探られる。
一方、日本では、日本銀行(BOJ)が12月18日(木)に開催される金融政策決定会合で利上げを行うとの見方が市場で広く浸透している。ロイター通信の報道によれば、市場は既に政策金利を0.75%に引き上げる動きを織り込み済みとされる。世界的な水準では低金利が維持される見通しだが、日銀が金融緩和的な状況は続き、今後の利上げは経済の反応次第だと強調する可能性が指摘されている。それでも、金融引き締めへの期待は、暗号資産を含むグローバルなリスク資産を支える流動性の源泉の一つである円資金のキャリートレードへの潜在的影響に注目を集めている。
アナリストは、ビットコインが8万6000ドルの重要な技術的サポートレベルを維持する必要性を指摘しており、これを下回ればより深い調整が始まる可能性を示唆している。現時点では、暗号資産市場はレンジ内での動きに留まり、取引量は抑制され、確固たる方向感は限られた状態が続いている。
まとめ
ビットコインは主要なマクロ経済イベント前の慎重な市場環境の中で8万9000ドルを下回った。アルトコインの広範な弱さと低い取引量が特徴的であり、投資家は米国の経済データと日銀の政策決定という二つの重要な要因から明確なシグナルを待ち望んでいる。